二つの半島に関するメモランダム
Alt_Mediumが運営する出版レーベル「sign and room」から篠田優『二つの半島に関するメモランダム』(32p フルカラー A5サイズ)が出版されます。こちらの書籍は山崎雄策「佐藤愛」、喜多村みか「TOPOS」に続く三冊目のコンセプトブックとなります。
本来であればリコーイメージングスクエア東京において開催される「抵抗の光学」展に併せて発売の予定でしたが、新型コロナウイルスの影響もあり会場が休館しているため、下記のWeb Storeにて先行販売を行うこととなりました。
現在購入できる場所は上記のみですが、今後に新規取扱店舗や展覧会場での販売がおこなわれる場合は改めてお知らせいたします。
継続中のプロジェクトの経過報告でもありますが、自分の来し方と今後の道のりに思いを馳せ、考えていくためのよい機会となりました。ご一読いただいた方にも何かを考えるためのきっかけが訪れましたら幸いです。
信濃毎日新聞 (2月、3月)
毎月第1土曜日の信濃毎日新聞に掲載される、「思索のノート 沈黙の言葉に出会う」というコーナーに、写真を掲載していただいております。本文は政治学者、中島岳志さんによるエッセイです。一年間続いた写真の連載も今号が最終回となります。ご覧いただけましたら幸いです。
写真は2月と3月の連載に使用したものです。
1枚目は大房岬に残存する壕です。この壕の前に広がる海には、レール上の構造物がその形を留めており、潮が引くことでその姿が水面から顕になります。
2枚目は松代の草叢の様子です。初夏のような陽気の春過ぎには、このように半ば埋もれていた車ですが、秋を過ぎた頃の枯れ草の合間にも、何事もなかったかのように佇んでいました。しかし、それまで変わらずに在ったモノが次にその場所を訪れたときにはもう無くなっているということも、この土地では珍しくありません。
信濃毎日新聞 (12月、1月)
毎月第1土曜日の信濃毎日新聞に掲載される、「思索のノート 沈黙の言葉に出会う」というコーナーに、写真を掲載していただいております。本文は政治学者、中島岳志さんによるエッセイです。ご覧いただけましたら幸いです。
写真は12月と2020年1月の連載に使用したものです。
一枚目は三浦半島の久留和漁港。錆びて、破断したレールがコンクリート製の浮島へと伸びている風景に出会いました。なにかの遺構かと思ってシャッターを切ったのですが、のちに調べたところ、養殖用の生簀であることがわかりました。
二枚目は、松代にメルクマールのように聳えて立つ皆神山です。この山や舞鶴山、象山には太平洋戦争末期に天皇在所や大本営、三種の神器を収める賢所(これは舞鶴山の向かいに位置する弘法山ですが)が、多くの人命を徒費して建設されていました。新年最初の連載でしたので、富士山ではなくこの山の姿を載せたかったのです。
表参道画廊:Wakes
表参道画廊(東京・渋谷区)で、2020 年1 月20 日(月)から2 月1 日(土)まで、写真展「Wakes」を開催いたします。
本展では2 0 1 7 年、銀座ニコンサロン、大阪ニコンサロンにて発表された「S e e / S e a 」から継続して撮影されている、三浦・房総という二つの半島に残された、海防のための遺構を主なモチーフする写真群の新作を発表いたします。
江戸・幕末期の砲台跡や、太平洋戦争時の洞窟陣地を巡る歩みは、現在の土地における水平的な移動とともに、大海のような深みを持つ歴史を垂直的に重ね見る、旅のようでもあります。
本展「W a k e s 」は、その軌跡を示す、現在進行形の写真群やテキストによって構成されます。
なお、会期中の2 0 2 0 年1月25日( 土) 1 8 : 0 0 より、詩人・写真評論家の倉石信乃教授をお招きしてトークイベントを開催いたします。
ご都合付きましたら是非ともお越しください。
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【展覧会詳細】
篠田優写真展「Wakes」
会期:2020 年1 月20 日(月)- 2 月1 日(土)
会場:表参道画廊
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前4-17-3 アーク・アトリウムB02 TEL:03-5775-2469
開廊時間:12:00 ~ 19:00*最終日17:00 まで、日曜日定休・祝祭日開廊
主催:明治大学大学院理工学研究科建築・都市学専攻総合芸術系、表参道画廊
http://www.omotesando-garo.com/link.20/shinoda.html
信濃毎日新聞 (10月、11月)
毎月第1土曜日の信濃毎日新聞に掲載される、「思索のノート 沈黙の言葉に出会う」というコーナーに、写真を掲載していただいております。本文は政治学者、中島岳志さんによるエッセイです。ご覧いただけましたら幸いです。
写真は10月と11月の連載に使用したものです。
一枚目は房総半島の平砂浦。さらさらと流れるような砂の丘が続く土地は、太平洋戦争の最中、海軍砲術学校の演習場でもありました。
二枚目は、長野県信濃美術館本館に隣接する東山魁夷館の中庭にある池、その薄氷に映る夕空です。2016年の暮れ、次の年に行われる本館のクロージング展『ネオヴィジョン 新たな広がり』に向けての下見のため美術館を訪れた冬の日に、この写真を撮りました。その後、東山魁夷館は改装を経て、今年の10月にリニューアルオープンしました。撮影後、間も無くして夜の帳が下りていくなか、私が眺めていた信濃美術館本館の建築は、いまはもうありません。